訪問先の4才の担当児の体重が20キログラムを越えてきた。共働きの両親をおじいちゃんとおばあちゃんがフォローしている。車に乗せるのが大変だと言うので、訪問リハビリテーションのプログラムとして取り組んだ。

開始時の状況

運動発達の遅れと軽度の片麻痺症状がある。でも片麻痺症状は、一般人にはわからない程度のもの。

1才から訪問リハビリで関わっていて、歩き始めたのは2才を過ぎてから。
現在、屋内は歩いているが、屋外では時々つまずいたりするため、手をつないで歩いている。平地であれば一人で歩けるけど、ちょっと心配。

車の乗り降りは、抱き抱えて行っている。

プログラムのきっかけ

訪問時には、おじいちゃんとおばあちゃんがいる。そのおじいちゃんがぎっくり腰になってしまった。

理由を尋ねると

「孫を車にのせるために抱き抱えたときに、ギックリきた」

とのことでした。体重20キロ越えなので、大変なんだそうだ。

そうかあ、車の乗り降りは未評価だったなと深く反省。

なんとか一人でも乗り込めるように頑張ってみよう。

車はセダンタイプ。

取り組んだプログラム

歩けるようになったけど、片脚立位(片足立ち)はできない。
手をつないでいれば、10センチくらいの段差ならまたげるけど不安定。

さあ、どんなプログラムを考えますか?

私がイメージしたのは

座席の床に片足上げて、両手で座席のシート部分に手をついて、あげた足と両手で体を支えたら乗れるんじゃあないかな

って感じ。

毎回、実際のセダン使うのも、ヨダレで汚れたりしそうなので、なんとか自宅でできるプログラムを考えてみた。

ぐるっと家の中を見渡すと、ちょうどいい高さのピアノの椅子があるじゃあない

よし、この椅子の上に一人で乗り上がれるようになったら、車にも乗り込めるようになるんちゃうかあ。

ってことで、ピアノの椅子に乗り上がる練習を開始。

ピアノの椅子に乗り上がる

食卓用の椅子には背もたれがあるけど、ピアノの椅子には背もたれがありません。

だから、乗り上がるときに背もたれとかを引っ張りこんで上にあがることはできない。セダンの後部座席にも引っ張れそうなところないからちょうどいい。

ピアノ椅子の座面がちょうどおへそのあたりの高さでした。
椅子に両手をかけて、片方の膝を椅子の上にのせる。その姿勢はとれる。

後ろからおしりを持ち上げてみたら、椅子の上に覆い被さるようにして上肢を引き込んでいる。そうするとなんとか、もう一方の足も引き上げてなんとかピアノの椅子の上にあがれた。

でもおおい被るようにして、椅子の向こう側に手を伸ばすんだよね。車にはそんなスペースはない。手を伸ばしても座面があるだけで、手を引っかけて、引っ張るような場所はない。

目標は、

覆い被さるようにして乗るのではなく

両手を椅子の上において、片足は膝をかける、この姿勢から両手と膝で支えながら四ッ這いの姿勢になるようにして椅子の上に乗ることだ。

結果

気分や、やる気にムラがあるが何とかそれらしくはなってきた。

一番の進歩は、ピアノの椅子の前に来ると、椅子に手をついて、片膝を椅子の上にのせるというスタートポジションをとれるようになったことだ。

気分が乗っていると、上肢でしっかり支持しながらもう片方の足を引き上げて、ピアノの椅子の上に四ッ這い姿勢がとれるようになった。

成功率は3割位。

おじいちゃんに頼んで、セダンでこのスタートポジションをとってもらうようにしたが、まだ一人では乗り込めない。

上にあげる方の膝は左足でないとこの乗り込みはできない。片麻痺の影響で右足の脚力が弱いからだ。

もう少し練習を続けよう!

現在、食卓用の椅子には一人で乗り上がり、そこからさらにテーブルに乗り上がるという技を覚えてしまったようだ。テーブルではなくて車に乗ってよね。