実習に来ている学生さんからこんな質問がありました

「見学した方の症状に、すくみ足とか姿勢バランスの悪さとか無動がみられるのでパーキンソン症候群だと思うのですが、カルテの診断名にはそのような記載がありません、パーキンソンではないのですか?医師はなぜその診断名をつけないんでしょうか?」

ここをご覧の作業療法士の方ならどんな説明をされますか?ちなみにこの方は担当ケースではなく、たまたまその日の見学で気になった人。

私が行った説明はこんなかんじです。

ポイントは次の点

①主たる病名の診断は医師が行う

②OTと医師の評価が異なる場合もある

③パーキンソンの診断の有無で作業療法士の対応が変わるのかどうか?

もう少し詳しく書きますね。

①主たる病名の診断は医師が行う

②OTと医師の評価が異なる場合もある

カルテに記載する診断名は医師が行います。医師の行う診断や評価などの補助として作業療法士が行った評価などの情報を医師に提供することはあるでしょう。それらを総合的に判断して医師が診断するものだと思います。

しかし、私がパーキンソン様の症状がみられる対象者さんの診断がパーキンソンでない場合もあります。医師がどのような診断基準に基づいて診断を行っているかによって意見が一致しない場合もあるでしょう。だから、必ずしも担当者全ての意見が一致するとは限らないと思います。

ましてや、私のような地域の職場で働いていると主治医は別の事業所に属していますから気軽に診断や症状について主治医と意見交換できない場合が多く、医師がどのような根拠の基づいて診断を行っているかを確認できないんです。病院で働いているともう少し気軽に意見交換できるんしょう。

③パーキンソンの診断の有無で作業療法士の対応が変わるのかどうか?

たとえ診断名がついていなくてもパーキンソン様の症状が出ているのですから家族へのADL指導などはその症状への対応なども含めてで指導することになります。そういった意味では診断名の有無に関わらず、共通の対応をすることもあります。

地域の事業所のように医師が異なる事業所の場合は、直接医師と意見交換する機会があればこちらの考えをお伝えすることもありますし、家族さんを通じて医師と相談して頂く事もあります。そういったことで、医師の治療方針が変更となり投薬などを行って症状が改善することがあれば幸いですね。

だから、対象者への対応と言う点では診断名があってもなくても大きく変わらない。

だた、疾患の種類によってはリハビリ実施上の「禁忌事項」などがあるものもありますから、きちんとした診断に基づいてリハビリを行うことは必要です。しかし、いろいろな事情でそういったことを確認できない場合は、診断名がついていないからと「禁忌事項」に関係なく治療をするのではなく、診断名はついていないが念のため「安全コース」を選んで治療に当たる慎重さも必要と思います。

亭主