平成26年5月に開催されている、第101回社会保障審議会介護給付費分科会資料によると、リハビリ中心型の訪問看護ステーションにおける、リハビリ職員の平均人数は8.3人となっている。
ちょっとそのことについて考えてみた。

リハビリ中心型の訪問看護ステーション

自分で書いていてもちょっと違和感があるのですが、世の中には「リハビリ中心型の訪問看護ステーション」というものが存在します。
訪問看護ステーションというものは、看護師さんが中心になって運営されるもので、人員基準に関しても1ステーションあたり常勤換算で2.5人以上の看護師を配置することが必要となっている。

訪問看護ステーションには看護師の配置義務はあるが、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の配置義務はない。

そんな状況なのに、リハビリ中心型の訪問看護ステーションっていうのがある。看護師の人数よりも理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の人数が多い事業所を指しているようである。そのような事業所であっても、看護師は人員基準に必要な2.5人以上は確保しなくてはならない。

だから、看護師2.5人以上の人員に加えて、それ以上の数の理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が所属しているステーションがリハビリ中心型の訪問看護ステーションってことになる。

そんなステーションが少しずつ増えているようだ。

平成26年5月に開催されている、第101回社会保障審議会介護給付費分科会資料に下記のようなものがある。

20140726

これによると、リハビ中心型訪問看護ステーションに在籍しているリハビリテーションスタッフの人数は平均8.3名。

それ以外のタイプの訪問看護ステーションが多くてもリハスタッフの人数が1.1名であり、多くの訪問看護ステーションにはリハビリテーションスタッフがほとんどいないっていうような状況のようだ。

これってどう考えたらいいのかなあ?

私は非常勤掛け持ち勤務で働いている作業療法士で、メインの職場は訪問看護ステーションだ。

計3か所の訪問看護ステーションで働いていて、うち1ヵ所がリハビリ中心型の訪問看護ステーションで、他の2ヵ所はリハ職員は私しかいない事業所である。

複数の事業所に勤務していて日々感じていることは、リハビリ中心型の訪問看護ステーションが多くなるよりも、普通の看護ステーションに対してもっとリハビリスタッフが食い込んで欲しいってことだ。

看護師との連携で効果が出てくる患者さんは非常に多い。

リハビリテーション中心型訪問看護ステーションの多くは、看護師を配置基準ぎりぎりしか雇用していないところがほとんどだと思う。そうなると、自分たちの事業所の看護師との連携は少なくなる。

看護師と同数か看護師の数の方が多いような訪問看護ステーションに、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が勤務することでかなり密な看護師とリハビリスタッフとの連携ができるようになると考える。

重度な患者さんの訪問をしているときに、患者さんの状態が不安定であったりする時に自分の事業所の看護師が担当してくれていると、状況報告をすると、自分の事業所の看護師の誰かがすぐに来てくれる。作業療法士としては非常に安心してリハビリテーションを行うことができる環境である。

これが、他ステーションの看護師との連携だと少し状況は異なる。

加算などの関係もあり、状況が不安定であっても担当している他事業所の看護師が訪問することができないような状況もあるのだ。正確にはリハビリスタッフが訪問した同じ日に他事業所の看護師が状態が不安定になった患者さんを訪問しても算定できない場合がある。

だから、同じ事業所の看護師とリハビリがセットで訪問しているほうが都合が良い場合が多い。

だけど、このスライドのようなデータでは、そのようなパターンの訪問を実践している事業所は少ないってことだ。

少数派は嫌なんだろうな

訪問リハビリテーションの領域に転向している若手の理学療法士や作業療法士、言語聴覚は多い。

この若手の人達の多くが、おそらくリハビリ中心型の訪問看護ステーションに所属しているものと思う。自分を指導してくれる先輩の療法士がいるところに就職するほうが、安心なんだろうな。

だけど、そんなパターンではいつまでたっても世の中にリハビリテーション、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の存在をアピールできない。

自分たちの職種だけで集まって、自分たち中心の会社を作る。それでリハビリテーションを世の中にアピールできるようになるのでしょうか?

積極的に他職種の中に飛び込んでいってアピールする必要がもっとあるように思うのですが、このスライドのデータではそのような理学療法士・作業療法士、言語聴覚士は少ないようだ。

リハビリスタッフは一人という職場で働いている作業療法士としては、ちょっとこの状な状況は心配だ。

やまだリハビリテーション研究所としても、何か働きかけを考えないといけないと思った次第です。