ちょうど1カ月前、非常勤の職場の関連施設の保育士さんから

「1歳4か月なんですけど、ずり這いしかできません。這うときの動きも片足は全く動いていないんです。ちょっと見てもらえませんか?」

で様子を見に行きました。
1歳4か月児、表情は良好、初対面の僕を見て泣いています。
這い這いはというと、両手はしっかり動いていますが足の動きは片足だけ、もう一方の足はだらんと伸ばしたままで全く動きません。パッと見た感じでは片麻痺の子供っぽい動き。
他動的に動かしてみると、硬さもなく可動域も問題なし。介助して立たせようとすると、両足ともにキュッと曲げてしまって接地できずぶら下がった状態になります。無理やり立たせると泣いてしまいます。つかまり立ちもしません。

こんな子供を見たらセラピストの皆さんはどんなアドバイスしますか?

受診を促す
様子を見るよう伝える
問題なしという

翌週、お母さんも交えてお話ししました。
お母さんからは、保健所の発達健診では「様子を見ましょう」と言われているというお話を聞きました。
私の説明は
『1歳4か月で這い這いしかしないというのは、教科書的には発育が遅れています。でも両手の動きは、指先もきちんと動いていて年齢相応の動きです。這い這いの姿勢は確かに片足を全く使わないのですが、動かさないほうの足にも硬さは見られません。座っている姿勢は年齢相応でバランスもいいです。両手と片足の動きが正常で一方の足だけが、動きがよくないという病気はあまりありません。』
ということを伝えたうえで
『移動が這い這いだけなので、足に体重をかけるのを嫌がっています。座る姿勢はばっちりなので、椅子に座って足底が床に着くようにして、足に体重をかける感覚を習慣づけてください』とアドバイスして、保育士さんにもそのように保育するよう伝えました。

移動面での発達は遅れているけど、両手の動きは正常で座位バランスも良好、四肢に硬さや可動域制限がない。何故かはわからないけど、ずり這いが移動の中心なため下肢へ荷重する経験が乏しいから、つかまり立ちも拒否的。足底つけるような座位を取って下肢への荷重を促す。異常な要素は少ないからこのまま経過観察という判断でした。

その後も2回ほど勤務の合間に様子を見ていました。変化がなければやっぱり受診促さないといけないからです。2週間前に行った時も状態は変わらず。ちょっと不安でした。

昨日再度保育園訪問して様子を見に行きました。きっちり初回相談から1か月後です。すると、ちゃんと四つ這いできていました。四つ這いして股関節にしっかり荷重もできるようになっているので、つかまり立ちもできるようになっていました。これで一安心。歩行への移行まで経過観察続けますが、順調にいってくれることを祈るのみです。

正常か異常かの判断は難しいものだと思います。でも、どこへも相談することのできないボーダーラインの子供さん、「様子を見ましょう」とだけ言われて他のアドバイスをもらえないお母さん、けっこうたくさんいてるはずです。ここの保育園は小規模なんですが、それでももう一人相談にのっている子供さんがいるんです。セラピストはそんな相談に乗ってあげることのできる職種だと思います。相談に乗ってアドバイスしてあげてください。それで安心するお母さんは多いと思いますよ。

所長